面接で面接官が何を確認しているのかというと、コミュニケーション能力があるかどうかをチェックしています。
コミュニケーション能力とは、JLPT N1の日本語力ではありません。
つまり、コミュニケーション能力が高いのと、日本語が話せることは、全く別物なのです。
JLPT N1に合格して、流暢な日本語を話すことができても、実はコミュニケーション能力不足が理由で、不採用になる方も意外と多いです。
日本人でもコミュニケーション能力が不足していると不採用になるケースも多くあります。
つまり大事なのは、JLPTよりもコミュニケーション能力だということです。
今日のレッスンでは、コミュニケーション能力について詳しく説明し、そしてコミュニケーション能力を鍛える方法をお伝えします。
コミュニケーション能力とは?
コミュニケーション能力が高いことと、日本語が話せることの違いを簡単にお伝えします。
コミュニケーション能力が高いとは、
相手の質問の意図を理解して、短く、わかりやすく答えることができる能力のことです。
自分が求める情報を得るための手段として、質問をします。
なぜ相手は、この質問をしたのか、この質問を通して相手は何を知りたいのか?などと相手の立場に立って、質問に答えられるとコミュニケーション能力が高い、と判断されます。
要は質問に対して的外れな答えをしないことです。
逆に、日本語が話せることとは、
(相手の求める情報をわかりやすく伝えよう!など考えず)、ただ相手の質問に答えるだけです。
相手の質問に対して、聞いてもいないことをたくさん話してしまい、結局何が言いたいのかがわからない状態になることです。
会社はどういう人を採用したいかというと、質問の意図を正しく理解して、その質問に対して、短く、わかりやすく答えられる人です。
あなたは相手の質問の意図を考えて、相手の求めている情報だけを短く、わかりやすく伝えられていますか?
もし伝えられていなくても大丈夫です。
これからお伝えする、日本人もビジネスシーンでよく使っている方法を学びましょう。
① 結論を伝える
質問に対する答えを、短くわかりやすく最初に伝える
② 詳しい理由を説明する
結論のあと、なぜそう思うのかの理由をわかりやすく、短く伝える
③ 最後に結論をもう一度伝える
なので(だから)、○○です、という風に結論で締めくくります
面接で聞かれる質問を例にして、コミュニケーション能力がある人の答え方とコミュニケーション能力がない人の答え方を比較してみましょう。
① 自己紹介
自己紹介では、自分の名前と出身国、そして現在の仕事について述べます。
良い例と悪い例を比べて見てみましょう。
本日はお時間をいただきありがとうございます。
日本から来ました、田中太郎です。
これまで5年間、モバイルアプリを開発してきました。
どうぞよろしくお願いいたします。
この例文はとてもシンプルなので、どういうお仕事をしてきたのかが、わかりやすいですね。
自己紹介では、仕事について詳しく説明する必要はありません。
なぜなら、仕事についての質問は後ほど聞かれますので、そこで詳しく説明しましょう。
続いて、悪い例を見ていきましょう。
日本から来ました、田中太郎です。
昔からプログラミングが好きだったので、
ITの大学に入学しました。
大学では様々なアプリを作りました。
そこではJavaを使って開発したので、
Javaのプロジェクトをやってみたいです。
日本のテクノロジーはレベルが高いので
スキルアップもしたいです。
これでは自己紹介になっておらず、面接官は【いつ終わるの?】と呆れられてきられてしまいます。
これまでの経歴を全部伝えてアピールしたいところですが、情報が多すぎると何が言いたいのかがわからなくなりますので、自己紹介は1分以内で簡潔に伝えましょう。
② 転職理由
転職理由では、なぜ転職したいのか、どうしても現職を辞めないといけない理由があるのか、などについて具体的な理由を述べましょう。
良い例と悪い例を見て比べていきましょう。
スキルアップしたいからです。
現職では主にコーディングとテストの
下流工程がメインです。スキルアップのため、
フリーランスとして要件定義から基本–詳細設計など
上流工程も経験しており、上司に上流工程から
プロジェクトに参画したい旨伝えましたが、
もう少しコーディングを経験してからと言われました。
なので、上流工程からアプリを作り、
さらにスキルアップしたいからです。
スキルアップしたいという結論から先に述べると、転職の理由がわかりやすいです。
次に、なぜ転職が必要なのかを分かりやすく述べているので、転職理由に一貫性があります。
この理由であれば、面接官も納得します。
続いて悪い例です。
前のプロジェクトでは開発でしたが、
今のプロジェクトではテストのお仕事をしています。
今のQAでは全くコーディングができず、
あまり好きな仕事ではありません。
QAも大事な仕事ですが、
私には合わないと思ったから転職を検討しています。
この理由では、結局なんで転職をしたいのかがわからないです。
転職したい理由が不明確で、そして仕事が「合わないから辞める」と伝えてしまうと、たとえ転職しても、また合わない仕事だったらまた辞めてしまうのでは?と思われて不採用になります。
何かを伝える際には、まずは結論から伝えましょう。
その後に具体的な理由を述べると、わかりやすい文章になります。
③ 活かせる知識・経験・スキル
面接では、これまでの経験をどう会社に貢献できるのかについて、2つほど伝えましょう。
そして、貢献できる根拠も一緒に伝えることで納得のあるアピールができます。
ここでも注意が必要ですが、内定が欲しいからと言って、たくさんアピールしすぎると情報が多すぎて、結局何が言いたいのかがわからなくなります。
良い例と悪い例を比べてみましょう。
5年間フルスタックエンジニアとして開発してきた経験を、
そして日本語だけでなく、英語も話せるのでグローバルに
貢献したいです。前職では開発だけでなく、リーダーとして
コードレビューやタスクのアサインなど部下のマネジメントも
担当しておりました。タイトなスケジュールでも、チーム一丸
となり、問題が起きてもミーティングでアイデアを出しながら
リリースすることができました。御社でも開発だけでなく、
マネジメント経験を活かして将来はPMとして働きたいと
考えております。
これまでの経験をどう会社へ貢献できるのかを最初に伝えることで、相手に伝わりやすくなります。
また、自身の実体験(根拠)を交えることで、納得感のある文章になります。
2回の面接で、すべてをアピールすことは難しく、また面接官も少ない面接で候補者のスキルを見極めるのは至難の業です。
だからこそ、アピールするときは自身の実体験を交えて話すと、それが根拠となり、あなたの話は説得力のあるストーリーになります。
続いて悪い例です。
前職では、フロントエンドの開発を
していました。現在はバックエンド
の開発を担当しており、上流工程での
開発をメインに担当しております。
これまでの経験を活かして、
御社に貢献したいです。
この例文では、経験があることは伝わりますが、詳しい説明がないので、どんなプログラミング言語を使って開発したのか?、上流工程はどこのフェーズのことなのか?などの情報が不足しています。
前述したように、コミュニケーション能力が高いというのは、質問の意図【相手はこの質問を通して何を知りたいのか?】を理解して、短く、わかりやすく答えることです。
ここでの質問の意図は、応募者がこれまでどういう経験をしてきたのかを把握することによって、会社は応募者にアサインしたいプロジェクトにマッチするのかを確かめたいのです。
何年間、フロントエンド/バックエンドの開発をしたのか?、そしてメインのプログラミング言語は何なのか?など詳しいことを伝えないと、プロジェクトにマッチするかわからなく、不採用になります。
なぜならコミュニケーションが取れていないからです。
おさらい
コミュニケーション能力が高い、というのは
質問の意図を理解して、相手が欲しい情報を短く、わかりやすく伝えられる能力のことです。
何か質問されたときは、次のことを考えてから答えるように気をつけましょう。
相手はなぜこういう質問をしているのか?
この質問を通して、相手は何を知りたいのか?
面接に限らず、職場で日本人と話す時は、必ず結論から話すようにしましょう。
結論を伝えたら、その理由を伝えましょう。
そうすることで、コミュニケーション能力が向上し、意思疎通がスムーズに行きます、
結果として面接に合格できます。
ぜひこの話し方を面接で実践してみてください。
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